目次
- はじめに
- jsonapi-rspecのinstall
- 既存のRequestSpecによく見られるテストケースの例
- jsonapi-rspecで置き換えてみる
- さいごに
はじめに
こんにちは、株式会社スタメンでエンジニアをしているワカゾノです。 4月からサーバーサイドエンジニアとして、弊社プロダクトTUNAGの開発を行っております。
TUNAGでは、ユーザビリティの向上を目的に、既存機能のReact化、Native化が進められています。 その際に、jsonapi_serializerというGemを使用してAPI実装を行っています。responseはJSON:API形式で取得することが出来ます。
また、弊社ではAPIドキュメント化を進めており、RequestSpecによる結合テストを必ず追加し、APIインターフェースに対してドキュメントを作成、追加するようにしています。
TUNAGの既存のRequestSpecには下記のような問題点があります。
- responseのstatusやID値のみのテストケースが多く、APIドキュメントに記載されている各属性値に関するテストケースが少ない
- responseのネストが深くなる場合に、
response['data'][0]['a']['b']
のように対象のテストデータを取得する必要があるため、テストを作成した人以外が見た場合に、直感的に分かりにくいテストケースになってしまう
今後、APIを実装する機会が増加する、APIドキュメントの各属性値に関して、正しさを担保する為に、より細かく、そして直感的にRequestSpecを書きたいというニーズがありました。
そのため、これらの問題点を解消するために、今回はjsonapi-rspecというGemを試してみました。
その使用感や感想についてまとめてみようと思います。
jsonapi-rspecのinstall
公式のREADME通りですが、下記の手順でinstall、設定をします。
- Gemfileに追記します
gem 'jsonapi-rspec'
- プロジェクトにinstallします
bundle install
- spec/spec_helpers.rbに設定を追記します
- テストケースの中でkeyをstring型、symbol型のどちらも使用したい場合は
config.jsonapi_indifferent_hash = true
と設定します。
# spec/spec_helpers.rb require 'jsonapi/rspec' RSpec.configure do |config| config.include JSONAPI::RSpec # Support for documents with mixed string/symbol keys. Disabled by default. config.jsonapi_indifferent_hash = true end
既存のRequestSpecによく見られるテストケースの例
下記のようなTODOアプリケーションを例として、テストケースを作成しました
- /api/v1/tasksにアクセスした際に、TODOリスト一覧を取得することが出来る
- TODOリストの中には、「完了」と「未完了」のタスクがあり、/api/v1/tasksのエンドポイントにパラメータを付与することで、絞り込みを行うことが可能
require 'rails_helper' RSpec.describe 'Api::V1::Tasks', type: :request do describe 'GET /api/v1/tasks' do # 完了しているTODOタスクデータを作成 let!(:complete_todo_task) # 詳細は割愛 # 未完了のTODOタスクデータを作成 let!(:incomplete_todo_task) # 詳細は割愛 # responseから、取得したデータIDを配列へ格納 let(:json) { JSON.parse(response.body, symbolize_names: true) let(:response_todo_tasks) { json[:data].map { |task| task[:id].to_i } } context '正常系' do context 'パラメーターが存在しない場合' do it 'TODOリストを取得する' do get 'api/v1/tasks' expect(response_todo_tasks).to eq [complete_todo_task.id, incomplete_todo_task.id] end end context 'パラメーターが存在する場合' do context '完了のパラメーターを付与した場合' do it '完了しているTODOデータのみ取得する' do get 'api/v1/tasks', params: { status: 'complete' } expect(response_todo_tasks).to eq [complete_todo_task.id] end end context '未完了のパラメーターを付与した場合' do it '未完了のTODOデータのみ取得する' do get 'api/v1/○○○', params: { status: 'incomplete' } expect(response_todo_tasks).to eq [incomplete_todo_task.id] end end end end end end
TUNAGの既存のRequestSpecではこのように、レスポンスから取得したデータのIDによりIN、OUT値をテストするテストケースが多く存在します。
今回のAPIのresponse例は下記のような構造となりますが、ID値以外の各属性値をテストしたい場合に、対象のデータを取得するまでが大変であり、またAPIのインターフェースが変更された際の、テストの修正点が多くなってしまいます。
{ :data => [{ :id =>"○○○", :type =>"tasks", :attributes => { :title=>"宿題を終わらせる!" :status=>"完了", } }, { :id =>"○○○", :type =>"tasks", :attributes => { :title=>"買い物に行く!" :status=>"未完了", } } ], :meta => { :total_todo_num => 2 } }
jsonapi-rspecで置き換えてみる
先程のテストケースをjsonapi-rspecを使用して置き換えたものが下記になります。
require 'rails_helper' RSpec.describe 'Api::V1::Tasks', type: :request do describe 'GET /api/v1/tasks' do # データを作成する箇所は割愛 # 属性毎のテストをするため変更 let(:json) { JSON.parse(response.body, symbolize_names: true) let(:response_todo_tasks) { json[:data] } context '正常系' do context 'パラメーターが存在しない場合' do it 'TODOリストを取得する' do get 'api/v1/tasks' expect(response_todo_tasks[0]).to have_id(complete_todo_task.id) expect(response_todo_tasks[1]).to have_id(incomplete_todo_task.id) end # 新規にmetaのテストケースを追加 it 'metaデータを取得することが出来る' do get 'api/v1/tasks' expect(json).to have_meta(total_todo_num: 2) end end context 'パラメーターが存在する場合' do context '完了のパラメーターを付与した場' do it '完了しているTODOデータのみ取得する' do get 'api/v1/tasks', params: { status: 'complete' } expect(response_todo_tasks[0]).to have_type('tasks') expect(response_todo_tasks[0]).to have_id(complete_todo_task.id) expect(response_todo_tasks[0]).to have_attribute(:title).with_value('宿題を終わらせる!') expect(response_data[0]).to have_attribute(:status).with_value('完了') end end context '未完了のパラメーターを付与した場合' do it '未完了のTODOデータのみ取得する' do get 'api/v1/tasks', params: { status: 'incomplete' } expect(response_todo_tasks[0]).to have_type('tasks') expect(response_todo_tasks[0]).to have_id(incomplete_todo_task.id) expect(response_todo_tasks[0]).to have_attribute(:title).with_value('買い物に行く!') expect(response_todo_tasks[0]).to have_attribute(:status).with_value('未完了') end end end end end end
マッチャとして下記を使用しています。
have_type
have_id
- JSON:APIでリソースの判別に使用される
type
とid
をテストするmatcher
- JSON:APIでリソースの判別に使用される
have_attribute(key).with_value(value)
- attributes配下にkeyが含まれるかとその値をテストするmatcher
have_meta
- metaデータに関してkeyと値をテストするmatcher
その他にもリソース間の関連をテストする必要がある場合にhave_relationship().with_data()
などのmatcherも用意されています。
APIのインターフェースに沿った形でテストケースを書くことが出来るため、より直感的にテストを書くことが出来るようになりました。
また、テスト作成者以外が見てもテストの意図が明確であり、インターフェースの変更に伴うテストの修正が容易になると思います。
さいごに
APIドキュメントは既存機能をReact化、Native化するにあたり、多くのチームが参照するため、APIのインターフェースの正確性を担保することが重要であり、なるべく詳細にテストを書く必要があると考えています。
JSON:APIのRequestSpecをより書きやすく、分かりやすくするために有用なGemだと思いますので、是非試してみてください!
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