目次
- はじめに
- インペディメントリストとは
- 運用方法
- インペディメントリストの効果
- 運用する上で課題となったこと
- インペディメントリストをもっと活かすために今後やりたいこと
- さいごに
はじめに
はじめまして、株式会社スタメン TUNAG事業部 プロダクト開発部 西川、神尾、小松、村中です。
スタメンでは2022年の2月からスクラムを導入しており、私たちはスクラムチームの「チームおでん🍢」として、1週間のスプリントで開発しています。
先日、私たちは、社内で開かれたベスプラ会という業務における改善策を共有するイベントで登壇をしました。発表内容は「チームの一番重要な問題を改善し続ける方法」です。 私たちは4ヶ月ほど前からチームの継続的な課題解決のためにインペディメントリストを導入し運用をしていますが、今ではうまく活用できているものの、導入当初は多くの問題がありました。
そこで今回は導入から現在に至るまでどのように問題を改善してきたか、現在はどのように運用しているか等を紹介していきます。この記事によって、現在スクラムを導入しておりインペディメントリストをうまく活用したいと思っているチームや、具体的な運用事例を知りたい方の参考になれば幸いです。
インペディメントリストとは
インペディメントとはプロジェクトのゴールを妨げるものであり、その一覧がインペディメントリストです。 具体的には下記のようなものが含まれます。
- ミーティングの参加者が事前に決まっていないので、準備が十分に出来ていない
- 属人化してしまっている作業があるので、休暇時の対応に困る
- オフィスが暑い
3つ目の「オフィスが暑い」というのも、チームの課題と一見関係なさそうに見えますが「オフィスが暑い」ことが原因で「集中力が続かない」と考えると十分にインペディメントだと考えられます。 このように明らかにチームの課題と考えられることから一見関係なさそうなことまでインペディメントリストには含まれます。
運用方法
次に私たちが、どのようにインペディメントリストを運用しているかをStepに沿って紹介していきたいと思います。 前提として、私たちは「いつでも誰でも」インペディメントをリストに追加するようにしています。
Step1 レトロスペクティブの前に、インペディメントリストの中から一番重要なインペディメントをチームで話し合って決定します。
Step2 レトロスペクティブの際に、そこで挙がった問題とStep1で決めたインペディメントを比較して1番重要な問題(レトロアイテム)を決定します。 そうすることで、そのスプリントで出た問題だけでなく、過去も含めた全ての期間で一番改善すべき問題をレトロアイテムとして決定することが出来ます。
Step3 レトロスペクティブで改善策を決定し、次のスプリントで改善を行います。
Step4 次のスプリントのレトロスペクティブの際に、本当に改善できたか、改善策は正しかったかなど、再度話すことで確実に1つずつ改善していきます。
インペディメントリストの効果
このようにインペディメントを運用した結果、毎スプリント改善を積み重ねることができるようになり、チームの雰囲気にも良い影響がありました。感覚的なことにはなりますが、以下のような意見がメンバーから出てきました。
- インペディメントをポジティブに捉えられるようになった
- リストに追加すればチームで改善できるという安心感が生まれた
- 本心で話せるようになった
これらはチームが問題に向き合う上でとても重要な考え方だと思います。 毎スプリント、チームの問題に正面から向き合っていると改善が難しいことも出てきます。そのような時に、本心で話すことが根本解決に繋がるということを、経験から学ぶことができました。
運用する上で課題になったこと
現在はチームでインペディメントリストを上手く活用することで継続的に改善を積み重ねていくことができていますが、導入当初はいくつか課題がありました。
今回はその中から下記の2つの課題と具体的に改善した方法を紹介します。
- ただリストが並ぶだけ
- チームの改善よりも開発チケットを優先してしまう
1. ただリストが並ぶだけ
これはインペディメントリストが「優先度順」ではなく「記載された順」に並んでいることにより、何が重要なインペディメントなのかがわかりにくいという課題です。
これは「重要度×緊急度のマトリクス」を参考に優先順位を割り振ることで改善しました。 定期的にチームでインペディメントリストを確認する時間をとり、優先順位の「割り振り」と「更新」を行っています。具体的には次のようなことです。
- 割り振り
- スプリント中に各チームメンバーが追加した優先順位が割り振られていないインペディメントについて「重要度×緊急度のマトリクス」を使い優先順位を割り振る
- 更新
- 過去に優先順位を決めたインペディメントの優先度が変わっていないかを確認し、変わっている場合は再度優先順位を話し合う
このようにすることで、レトロスペクティブで一番改善したいアイテムを簡単に選ぶことができるようになっただけでなく、チームのインペディメントについてチームメンバー全員が共通認識を持つことができるようになったため、日々の話し合いなどの活性化にも繋がりました。
2. チームの改善よりも開発チケットを優先してしまう
これは期限のある開発チケットをチームの改善よりも優先したくなってしまい、チームの改善が上手く進まないという課題です。
インペディメントリストを運用し始めたばかりの頃は、スプリントの後半に話し合いの時間を設けており、スプリントの進捗が悪いとゴールを優先し話し合いがスキップされることが多くありました。
このような課題は、スプリントの冒頭であらかじめ話し合いの時間を確保しておくことで改善しました。 「チームの改善が何よりも重要」という共通認識をもって、スプリントの初めに話し合う時間を必ず取るようにしています。
具体的には、レトロスペクティブの最後にメンバーのカレンダーを用意し、全員が参加できる時間にスケジュールを確保するようにしています。 その話し合いの中で完全な改善策が見つからない場合もありますが、軽減策やその課題に対する共通認識を持つことが出来るというメリットだけでも毎スプリント欠かさず行うことに大きな意味があると感じています。
インペディメントリストをもっと活かすために今後やりたいこと
レトロスペクティブの改善
チームのレトロスペクティブはKPTを使用しています。 これはTUNAGでスクラム開発を導入してから継続的に取り入れている手法ですが、KPT以外にも振り返りの手法は数多くあります。 それらを取り入れるなどしてチームに合ったレトロスペクティブを模索し、インペディメントリストをより上手く活用できるようにしていきたいと思います。
さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございます。 インペディメントリストを導入したことで、チームの問題を継続的に解決できるようになっただけでなく、本心で話し合いができるようになり、改めて導入して良かったと感じています。 この記事を読んでインペディメントリストに興味のあるチームや既に導入しているチームの参考になれば幸いです。
そして、株式会社スタメンは2023年1月10日-13日に開催されるRegional Scrum Gathering Tokyo 2023(通称:RSGT)にシルバースポンサーとして参加することが決まりました🎉👏🎈
スポンサーブースの出展やDay2(12日)にスポンサーセッションもありますので是非お越しください👏👏👏 2023.scrumgatheringtokyo.org
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