
はじめに:3ヶ月目の今、あえて途中経過を書く理由
スタメンのQAエンジニア、にーくらです。スタメン初のQAエンジニアとして入社して3ヶ月。まだ成果が出てきているフェーズではありませんが、ここで立ち上げ期の思考や試行錯誤を後で振り返るためにも残しておきたいと思います。ですので、本記事は成功事例ではなく、現在試行錯誤しながら行なっていることの話になります。
現在スタメンでは東京オフィスで積極採用中で、個人の努力だけでは回らない局面が見え始めていました。プロダクトや開発、意思決定のスピードが上がる一方で、属人化や判断基準のばらつきが課題となりつつありました。そこで必要とされたのが「QA」という役割です。
QAの役割と品質への考え方
ソフトウェア開発において、QA(品質保証)は単に検証活動を行うだけの役割ではありません。しばしばQAは「テストをする人たち」と誤解されがちですが、本質的な役割はもっと広く、深いものだと信じています。 品質とは、決して「テスト工程」だけに宿るものではありません。品質は次のような日々の積み重ねによって形作られます。
- 日々の判断
- プロセスの設計と運用
- 暗黙の前提や共通理解
言い換えれば、品質は日々の活動や意思決定の中に自然と組み込まれていくべきものと考えています。だからこそ、品質を高めるためには「仕組み」「プロセス」「文化」の3つが極めて重要だと考えています。仕組みは作業を支え、プロセスは効率と一貫性を生み、文化はチーム全体の行動と価値観を方向付けます。これらが整って初めて、個々のテストやレビュー以上の品質が組織として実現できるのです。
プロセスを組織全体に浸透させるには、個人の努力だけでは限界があります。自身が品質保証を実際に取り組む中で、組織としての意志と後押しの重要性を感じていました。 プロセスを定着させるには、組織として明確な方針を持ち、積極的に後押しする姿勢が不可欠です。トップやマネジメントの支援がなければ、現場の努力だけでは継続が難しいのです。
今回転職活動をする中で、組織としての支援がどれだけ得られるのかを考えていました。その中でスタメンはQAを単なる個人の作業ではなく、組織的な役割として認識していると感じました。スタメンは人と組織で勝つ会社と明確に謳っているので、その組織の姿勢に共感し、「ここなら一緒にやれる」と思えたのです。
入社して見えた現実
入社して感じたのは、個々人が本気でプロダクトに向き合っていることでした。一方で、品質を横断的に見る仕組みや検証活動の整理・体系化はほぼ実行していないと感じました。しかし、これを否定的に捉えるのではなく、むしろ伸び代が大きい状態だと捉えています。これらの課題に取り組むことで、プロダクトの品質向上と効率化を図り、さらに良い成果を生み出せるものと確信しています。
組織に新しい考え方やフレームワークを導入する際、どこかで成功しているからと、そのまま持ち込むだけでは浸透しないと過去の経験から感じています。組織にその意味を説き、やり方を調整したテーラリングが不可欠です。まずは現実に何が起きているかを観察し、開発の流れを理解することを優先しました。組織で何が起きているのか、その際に必要なフレームワークやどこから浸透させて行くか作戦を練っていく必要があります。
入社後いくつか品質を上げるための課題と提案を進めて行きましたが、それを実行するためには関係者が多く、その人たちと合意していかないと進んでいかないもどかしさを感じていました。そのような悩みをCPOと話していく中で、プロダクト品質・プロセスに関する定例ミーティングが立ち上がることになりました。 当初は、分析に必要なデータも十分に揃っておらず、これをやった方がいいと提案から始まり、ミーティングはQAの私が一人で運営していく形。これでは避けたかったただの「他社の成功事例の持ち込み」になっていないか?と考えていました。
「品質文化」という考え方
品質を上げることで、どんないいことがあるか、どういう状態に持って行きたいか改めて伝えたいと思いました。イメージとしては全員参加で品質を上げていく組織、それはQAとしてよく語られる「品質文化」の浸透という話に置き換えられます。しかし、いざ説明しようとするとその内容を的確に説明することができません。ISOの品質マネジメントに置き換えることもできそうだと思いましたが、あえて「品質文化」という言葉を使っているので、別の定義をしなければいけないと考えました。
そこで出会ったのが、西康晴教授の「嬉しい、強い、すごい組織」という考え方です。品質文化とは、ソフトウェアの価値、組織能力、エンジニアリング力を上げる取り組みをし、習慣化させていくこと。組織で勝つ文化のスタメンに合いそうだとこの言葉を借りて、スタメンなりの品質文化を言語化し始めています。
次のステップは、開発プロセスの中に品質意識を溶け込ませることです。新しいルールを増やすのではなく、どこでどんな判断が行われているのかを問い直し、必要な仕組みを整えていきます。決して煩雑にすることが目的ではなく、判断を簡単に、属人化せず、その知識を蓄積して新たにステップアップできる方法ができないかと試行錯誤中です。
おわりに
単なる検証者で終わらず、品質という言葉を元に組織全員を束ねて行きたいと思っています。そして私は組織にそれを考える刺激を与えたいと思っています。道半ばではありますが、少しずつ変化が生まれています。これからも「組織で勝つ」ための品質づくりを続けていきたいと考えています。