iOSDC Japan 2019 で登壇して得たもの

こんにちは!スタメンで iOS/Android アプリ開発を担当している @temoki です。

前回の 投稿 にて告知しましたとおり、日本最大級の iOS アプリ開発者向けカンファレンス iOSDC Japan 2019 で登壇してきました!

カンファレンスそのものも大変素晴らしいものでしたが、登壇することで得られるものはさらに大きかったので、登壇にいたるきっかけから登壇後までをブログに記録したいと思います。

iOSDC Japan 2019 エントランス

 

きっかけ

私は父親業を最優先としてるため、昨年まではこういったカンファレンスには参加していませんでしたが、今年は子育ても少し落ち着いてきたため、try! Swift Tokyo 2019 に1日だけ参加することができました。その参加レポートが コチラ です。ここで刺激をもらった私は、いつかはこういう場で自分が登壇できるようになりたいと思うようになりました。

そして今年の6月、弊社のテックリード松谷 (@uuushiro) が AWS Summit Tokyo 2019 の中の Startup Architecture Of The Year 2019 というイベントにてなんとグランプリを獲得しました(その様子は コチラ のブログ記事にて)。彼は CTO に勧められたわけでもなく自らこのイベントに応募し、どうしたらグランプリを獲れるかということを最後まで考え、行動し続けてこの結果を勝ち取ったのです。

彼のこの偉業の影響を受けた私は いつかとか言っている場合ではない! と思い、iOSDC での登壇にチャレンジすることを決意しました。

このように影響を受けたのは私だけではなく、スタメンの他のエンジニアやデザイナーも然りで、最近のメンバーの社外での登壇等の活躍が増えてきています。こういった刺激の連鎖が社内で起きているのは素晴らしいですよね。

登壇のテーマ

以前に日本マイクロソフトの開発者イベント de:code で、エバンジェリスト西脇さん (@waki) のプレゼンに関するセッションに参加した際に「プレゼンをした後にオーディエンスがアクションを起こさなければ、そのプレゼンの意味はない」というようなことを仰っていましたが、まさにその通りですよね。

「楽しかった〜」「勉強になった〜」という感想だけで終わってしまわないようなプレゼンにするためには、私自身も熱量を持って話せる内容でなければなりません。そこで提出したプロポーザルが下記の2つです。

前者はスタメンに入社してから最も力を入れて開発したチャット機能に関するテーマで、後者は3年前から個人的に開発しているプロダクトに関するテーマです。この2つのテーマであれば自信を持って話せる内容です。結果としては後者を採択していただきました。

そしてこのテーマで登壇するにあたり、オーディエンスにどのようなアクションをしてもらいたいかということを決めました。次の3つです。

  1. 個人開発しているエンジニアのモチベーションを高める
  2. 子供とプログラミングを楽しむ機会をつくる
  3. 名古屋のITベンチャーでの就職を検討する

起こしたいアクション1 - 個人開発しているエンジニアのモチベーションを高める

同じエンジニアでも、なぜエンジニアをしているかという点はそれぞれ違いますよね。私はプログラミングそのものも大好きですが、それ以上に 自分がつくったものが他者に影響を与える という点が強い理由になっています。

そのため、業務とは別に常に個人的なプロダクトづくりを進めていますが、そのモチベーションを維持して作り続けるのが一番大きな課題だったりします。そこで、僕のプロダクトづくりの話を通じてそのモチベーションを上げたいと思いました。

起こしたいアクション2- 子供とプログラミングを楽しむ機会をつくる

父親になったエンジニアの多くの人に共感してもらえると思いますが、子供が大きくなってくるにつれて一緒にプログラミングをしたいなという思いが強くなってきました。そうすることができれば、私がどのような仕事をしているのかということも知ってもらうことができますし、何より自分が大好きなことを我が子と一緒に楽しめるというのは最高だからです。

しかしながら、プログラミングって難しい。私も高校生の時に本格的にプログラミングの勉強を初めては挫折するというのを何度か繰り返したので、子供に簡単に教えられるとは思えません。とはいえ Scratch のようなブロックベースのプログラミングですと、コードベースのプログラミングへの移行の壁があります。

子供とiPadでプログラミング!

このような課題に対して見出した答えの一つが、私がつくっている Tortoise Graphics というプロダクトで、今回の発表のテーマとなるものです。おそらく iOSDC に参加するようなみなさんでしたら、自宅に iPad があり、そのお子さんは誰に教えられることもなく、自然とその iPad を操作しているのではないかと思います。そこに Tortoise Graphics というエッセンスを加えることで、子供と一緒にプログラミングするきっかけとなるのではないかと思います。

起こしたいアクション3 - 名古屋のITベンチャーでの就職を検討する

私が iOS アプリ開発を本業にしようと決めた2014年のタイミングでは、名古屋でそのような就職先はほとんどありませんでした。その中で何とか就職できた後に名古屋でアプリ開発の勉強会を始めましたが、人を集めるにもとても苦労しました。それから5年が経ち、次のようなブログ記事が話題になります。

名古屋ネット系ベンチャー地図をざっくり描いてみた(2019新春)

名古屋も面白くなってきていると思いませんか?私も2014年の時点で、事業会社で自社サービスに関わるエンジニアになりたいと思っていましたが、昨年スタメンに出会い、それを実現することができました!

このように選択肢も増えてきていますので、就職や転職活動の際にはぜひ名古屋にも目を向けてもらいたいです。もちろんその中でスタメンに興味を持ってもらえると嬉しいですが、名古屋でのエンジニアコミュニティもっと活性化することが私の一番の願いです。

登壇準備

こんな思いを込めて7月中旬から登壇の準備をはじめました。準備の開始から当日までは下記のようなざっくりとした計画を立て、概ねこの計画通り進めることができました。基本的には子供が眠ってからの深夜か早朝でほぼ毎日1〜2時間程度の作業時間を捻出しました。

  • 7月中旬〜8月中旬:
    • 登壇内容にも関わる Tortoise Graphics の機能改善
    • 登壇内容の流れの整理と書籍等による参考情報収集
  • 8月中旬〜8月末
    • 登壇用スライドの作成
  • 9月初〜当日
    • 登壇用スライドのブラッシュアップと発表練習

いざ登壇

私の登壇した会場は Track E で、メインの会場である Track A, B と比べると広くはありませんが、それでも100名程度は収容でき、かつ私の想定よりもたくさんの人が入場されたので、発表の直前はとても緊張しました。

しかしながら会場のスタッフの方々がみな温かく、PCの接続やマイクのチェックの方法が工夫されていたため、その準備の中で緊張が和らぎ、とても楽しく発表することができました。ありがとうございます!

iOSDC Japan 2019 での登壇の様子

私はレギュラートークという30分の枠での登壇でしたが、事前に2回(小声ですが)声を出しての発表練習をして、喋る内容やスライドを調整しておいたおかげで、ぴったり30分で発表を終えることができました。事前の練習は大事ですね。

そして発表したスライドはこちらになります。

後半で出てきたカナダの学校での活用事例ですが、おそらく当日もっとも会場の反応があっと思います。活用していただいていることのご連絡はそこの先生からいただいていたので、iOSDCの発表が決まってから「具体的にどのように活用されているんですか?」というメールを送ったら、実際に作成された教材や生徒のメモ、写真などを多数送っていただきました。これには私自身も感無量でしたし、今回の発表のストーリーとしては最後に目に見える成果が重要でしたので、とても助かりました。

その後

発表後の質疑応答では、子供にプログラミングを教えるにはどのような手順がベストなのか?など、私と同じくらいの子供を持つ父親からの質問をいただくきました。答えながら私が普段から考えていたことが整理されていくのも感じたので、発表してフィードバックしてもらえるというのはありがたいな〜と思いました。

また、下のリンクはTrack E の私の発表時間のツイートですが、「起こしたいアクション」として挙げていたことに繋がりそうな反応がたくさんで、ある程度うまく伝わったようで安心しました。また、この発表内容をきっかけに同僚のエンジニアが個人プロダクト開発を始めたという嬉しい話もあり、私の目的は概ね達成できたのではないかと思います。

Twitterの反応まとめ: 14:15~15:00 #iosdc #e

そして一番想定外だった出来事は、なんと会場である早稲田大学に通う私の甥が発表を見に来てくれていました!この日の数日前に Facebook で登壇することを告知していたのですが、それを聞きつけてかけつけてくれたんです。2年ぶりくらいの再会でとても嬉しかったですし、就職活動を始めたばかりの甥に、叔父がどんなことを仕事にしているかを見せることができたのは偶然ながらも良かったです。これも iOSDC が学生に開放していてるおかげです。ありがとうございました!

さいごに

プロポーザルが採択された時から当日まで、毎日 iOSDC のことで頭がいっぱいで、期待と不安が入り時混じりながらの2ヶ月でしたが、とても充実していましたし、大きな達成感も得られました。また、ずっと実現したいと思っていた Tortoise Graphics のアニメーション機能も、この登壇をトリガーにして実装を終えることができました。大変なのは間違いないですが、それ以上に得られるものも大きいので、ぜひみなさんにもチャレンジしてもらいたいです!

そして最後に、登壇にあたってご協力をいただいた方々に深く感謝いたします。

  • @uuushiro には登壇のきっかけとなる大きな刺激をもらいました
  • @kiyoshifuwaTortoise Graphics とスライドのアートワークを快く引き受けてくれ、とてもカワイイものに仕上げてくれました
  • ラッセル先生に Tortoise Graphics を学校の授業にご活用いただき、その様子を伝えるための資料をたくさんいただきました

ありがとうございました!